現状の問題点
悪性腫瘍に対する細胞療法の中で最も広く行われているのが造血幹細胞移植である。大量放射線照射及び抗がん剤を可能とし、造血器腫瘍を中心とした多くの主要の根治療法として普及しています。
さらに最近では造血幹細胞ソースも多様化し、より多くの症例がこの治療の恩恵に預かれるようになりました。
しかし、移植前の大量療法に加えて同種造血幹細胞移植においては、移植後の非特異的な免疫反応に伴う合併症がその成功を妨げてきました。

質の高い臨床に支えられた、より選択的かつ安全な細胞療法
慶應義塾大学病院移植チームでは、移植後の免疫反応に伴うに伴う抗腫効果を選択的に増強、あるいは腫瘍に対する免疫反応を温存し、それ以外の移植患者の臓器に対する免疫反応を選択的に抑制する試みを検討している。
様々な移植ソースを用いたすべての移植の対応できる慶應の移植チームでは、移植細胞ソースに合わせたい移植後免疫抑制療法、移植後のドナーリンパ球輸注(DLI)、同種造血幹細胞移植の免疫療法の側面を重視した骨髄非破壊的移植を積極的に施行することに加えて腫瘍特異的細胞障害性T細胞の関する検討を進め、新しい細胞治療としての造血幹細胞移植に取り組んでいる。
さらに、慶應においては、固形癌を対象として、体外で増幅した腫瘍に対して特異的に作用するリンパ球を用いた臨床試験が進められている。